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海外生活(アメリカ・ドイツ・イギリス)20年目、Proseccoの日々観察記です。2021年夏ヨガティーチャートレーニングに挑戦しました!

サプライヤーデューデリジェンス:日欧米スタンダードは通用しないから

今日は1日デューデリの書類を作っていました。

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デューデリプロセス・パワポ作成

Due Diligence

デューデリ=デューデリジェンスとは、企業のM&Aや投資をする際に、対象企業の資産価値などを詳細に調査することを意味します。このデューデリは新取引によるビジネスリスク・ファイナンシャルリスク・オペレーションリスクを最小限に抑えるためのもので、企業買収などの大きな決断のみならず、サプライチェーンやベンダー関係構築の際にも重宝されています。

取引先の取引先の取引先の素性は?

世界は広く、全てが日本や欧米スタンダードで物事が進んでいるわけではありません。

特に、国営企業が多い国の公共事業を引き受けるグローバル企業の場合、現地での事業に関する贈収賄などの汚職や、投資金・支払金のテロリストへの流用、違法な子供の就労など、取引先企業やそのまた取引先企業の「素性」を明らかにしないままビジネスを開始すると、意図せずも、悪しきビジネス慣習に巻き込まれる危険性が潜んでいます。万が一、賄賂やマネーロンダリングなどが表面化した場合、企業が受ける社会的制裁の度合いは計り知れません。

デューデリ=お見合いの釣書

クライアントとサプライヤーなど、企業同士取引を開始する前に、対象企業が、国際社会で通用する=欧米の法律&国連などで制定されている規制に基づいたビジネスを行っているかどうかを調査するのがサプライヤーのデューデリです。

  • 会社の登記証明
  • 取引先銀行
  • 主要株主

といった情報などを開示する必要があります。いわゆる釣書や履歴書のようなもので、私はこういう背景で成り立ってきて、社会的にも認められていますよ、という証拠書類を提出するのです。

イギリスやEU国内に本社支社がある企業同士が、イギリス・EU内で取引をする場合は、お互いイギリス・EUの法律に従って事業をしているとみなされるため、あまりデューデリを依頼されることはありません。

サプライヤーデューデリ

今日資料を作っていた依頼企業の本社はイギリス(というかイギリス王室属領のジャージー)で、アフリカや中東など、事業透明性(トランスペアレンシー=腐敗認識数)が低いとされる国々で事業展開をしている資源開発系の企業だったため、サプライヤー申請する際の事前調査として、デューデリを求められました。

企業買収のデューデリの場合は、財務状況について詳しい調査がされますが、サプライヤーとしては、財務状況よりも以下の点を聞かれました。

  • 経営陣、社員を含めて対象国の政治家と強い関係があるか
  • 経済制裁が加えられている国々(ロシア、イラク、北朝鮮など)との取引があるか
  • 反賄賂対策を導入、実施しているか
  • 反マネーロンダリング対策を導入、実施しているか
  • サプライヤー(=私たちの会社の下請け)に対してデューデリを行っているか

環境対策やサスティナビリティなどは二の次で、企業倫理を問う質問がメインでした。事業運営や財務状況などよりも、まず、企業として欧米の法律に基づきビジネスを展開してきたかどうかが大前提となっています。

日欧米基準は通用しない:汚職環境はすぐそばに

これまでの生活で贈収賄を身近に経験しなかった私が、これまたあまり贈収賄が主流でないイギリスで起業している立場からすれば、賄賂やマネーロンダリング、子供の就労など当然やるわけもありませんが、所変われば、いつなん時、こちらはその気がなくても、賄賂を要求されるような環境に引きずり込まれるかわかりません。

以前、パートナーが出張で訪ねたインドでは、当時外部ビジネスコンサルタントを依頼していたインド人が、情報収集のためにインド人のお役人に「チップ」を渡しているのを偶然見てしまったそうです。

先日訪ねたカザフスタンでは、国営企業が多く存在し、政治家や国営企業社員(公務員)への汚職は後を絶たないそうです。だから、現地ビジネスパートナーは国際企業との取引メインで事業展開を推奨しています。

ロシアやベネズエラ出身の知人によると、何かあれば役所でも警察でも病院でも、お金を別で払えば解決することが多いそうです。ロシア人は、帰省時にどうしてもメディカルチェックを受けておきたかったが開院時間内に訪問できなかったため、病院のスタッフにお金を包んで、夜中12時から受けさせてもらったと言ってました。

それでも日欧米スタンダードの倫理は守りたい

実のところ、先進国でももちろん贈収賄は日常茶飯事です。ただ、気軽さ=賄賂は当然、といった感覚はなく、庶民には縁がないものでした。これからもそんな感覚を持ちたくありません。肝に銘じてデューデリジェンスに従うつもりです。

 

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