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海外生活(アメリカ・ドイツ・イギリス)20年目、Proseccoの日々観察記です。2021年夏ヨガティーチャートレーニングに挑戦しました!

イギリスのメディアの政治スペクトラム

2019年のイギリス議会総選挙TV特番において、保守党圧勝に対して「信じられない」「がっかりだ」と言った意見を持つコメンテーターが起用され、労働党よりの情報発信をしていたのが顕著でした。何しろ、TVニュースでは、選挙までもどちらかといえば左派的な意見を多く発信していた印象があり、今回の選挙では労働党が勝利するのではと予測したくらいです。メディアはマジョリティ民意を反映していないということも明らかになったのですが、これを機会に、イギリスメディアの種類と各社(全国版)の政治的立場について調べてみました。

イギリスの主要TV局

公共の電波を使って明らかな政治色を出してはいけない決まりがあるので、どのチャンネルも比較的ニュートラルな立場をとっているようですが、英国の調査会社BMGの2018年データによるとと必ずしもそうではなく、視聴者は下記の通りやや右傾化、やや左傾化と、感じているようです。

  • BBC - やや左
  • Channel 4 - やや左
  • ITV/STV - やや左
  • Sky - やや右

今回の選挙特番で中でもChannel4はMCもコメンテーターも完全に労働党支持あるいはアンチ保守色が強かったです。

イギリスの新聞:ブロードシート、コンパクト、タブロイド

ブロードシート(Broadsheet)とは日本の主要5紙のような大判の一般紙のことで、文章内容重視の新聞です。ニュース記事は事実のみだけでなく、独自の分析、論評を行います。多くの新聞はブロードシート採用でしたが、時代の流れにより今では数少なくなってしまいました。

コンパクト(Companct)とは紙面サイズはタブロイド紙のように小さめですが、内容はブロードシートに準じています。

タブロイド(Tabroid)は、日本のコミュニティ紙のように一般紙よりもひと回り小さいサイズで、内容は日本のスポーツ紙に近く、写真が多用され、見出しもインパクトが重要で派手にデカデカと記載されています。タブロイドにはさらに2種類に分かれています。

レッドトップス(Red Tops):赤を使った見出し表示があるためこう呼ばれています。政治・国際的な内容も扱いますが、内容に深みはなく、どちらかといえば、王室・芸能人・経済著名人などセレブリティの私生活暴露やゴシップ記事が多く掲載されているものです。

ミドルマーケット(Middle Market): ターゲット読者層はブロードシートとレッドトップスの間です。

ブロードシートの政治スペクトラム

The Daily Telegraph(デイリーテレグラフ)- 右派。選挙時は長年一貫して保守党支持表明。

The Financial Times (フィナンシャルタイムズ)- 中立。金融・経済紙のため一つの党を支持するのでなく金融・経済政策に関して意見を述べる。

コンパクトの政治スペクトラム

The Times (タイムズ)- 歴史的に右派。近年は中道右派。2001年、2005年トニーブレア政権時は労働党支持。2019年12月保守党支持表明。オーナーはメディア王ルパート・マードック氏。

The Guardian (ガーディアン)- 左派。選挙時は基本労働党支持表明。2019年総選挙では、「EU残留派」への投票を呼びかけ、支持政党は表明せず。

タブロイドの政治スペクトラム

レッドトップス

The Sun (サン)- 現在は右派。EU離脱、保守党支持を表明。ただし、過去には労働党支持表明した期間もありどちらかといえばポピュリスト系で、大衆世論を追う。オーナーはメディア王ルパートマードック氏。

The Daily Mirror (デイリーミラー- 左派。労働者階級向け紙としてスタート。

ミドルマーケット

The Daily Express (デイリーエクスプレス)- 右派。反ユーロ(Eurosceptic ユーロスケプティック)、UKIP(UK Independent Party英国独立党)、保守党の中でもより右派思想を持つ政治家を支持。故ダイアナ妃死亡陰謀説などをはじめ何かつけてダイアナ妃に関する記事を掲載することで有名。

The Daily Mail (デイリーメール)- 右派。センセーショナル見出しで読者を獲得しているが、情報の不正確さ、ファクトチェック(事実確認)が行われていないため信憑性が著しく低いとされている。 

タブロイド扱いだがゴシップ色が薄い紙

The Morning Star (モーニングスター)- 共産色が残る左派。タブロイド扱いだが、政治・社会問題、労働組合問題などについて、、社会主義、共産主義、環境第一主義などの思想を持った論評を行う。

例外

The Independent (インディペンデント)- 中道左派。ただし、経済問題においては、リベラルで、プロマーケット(市場競争主義)。2019年総選挙では、反ジョンソンへの投票を進める。もともとはブロードシート、コンパクトと変わり、紙版を廃止して現在オンライン版のみ。

そのほか各地域・都市でローカル紙が発行されています。スコットランドにはThe Scotsman (スコッツマン) という、スコットランドで発行されているコンパクト紙があります。思想はリベラル・左派よりで、2014年のスコットランド独立住民投票ではNOの立場を取っていました。

情報過多の時代、どちらの思想に基づいて言論されているかを見極めながら自分で内容判断することが非常に大切ですね。

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ブロードシート紙。写真は日曜版。

参考記事:

Is the BBC biased? BMG reveals public perceptions of broadcaster impartiality in the UK - BMG Research

Newspapers - Revision 1 - GCSE Media Studies - BBC Bitesize

Black and White and Read All Over: A Guide to British Newspapers - Oxford Summer School from Oxford Royale Academy

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